会社が持つ不動産は、自社株の価値にどう影響するのか?

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不動産は決算書の金額だけでは判断できない

会社が土地や建物を持っている場合、その不動産は自社株の価値に影響します。

ただし、決算書に載っている不動産の金額をそのまま使えばよいわけではありません。

特に長く所有している土地は、会社が購入したときの金額と、
現在の価値に大きな差が生じているケースが増えています。

例えば、会社が30年前に3,000万円で購入した土地が、
現在では8,000万円程度の価値になっていたケース。

決算書では3,000万円に近い金額で残っていても、
自社株を考える際には現在の土地の価値を使用した計算が必要になります。

反対に、購入価格が高かった不動産でも、
現在の評価では購入時より低くなるケースもあります。

つまり、会社が不動産を持っている場合に確認したいのは、購入価格ではありません。

1.いつ取得したのか

2.決算書ではいくらなのか

3.現在はどの程度の価値なのか

4.借入金はいくら残っているのか

この四つを見ることで、不動産が自社株へ与える影響が見えてきます。


昔買った土地は差が大きくなりやすい

不動産の中でも、特に確認したいのが土地です。

建物は年月の経過によって価値が下がっていくのが一般的ですが、
土地は購入後に値上がりしているケースが多いです。

土地が値上がりしていた場合、決算書から想像する会社の財産と、
自社株を計算するときに見る会社の財産との間に大きな差が生じます。

創業から長い会社で、本社や工場の土地を昔から所有している場合は
特に注意したいポイントです。

社長自身が土地を購入した当時の金額を覚えているため、
現在もその程度の価値だと考えているケースもあります。

しかし、駅前の土地や幹線道路沿いの土地、周辺の開発が進んだ地域などでは、
購入当時とは状況が大きく変わっているかもしれません。

自社株を確認するときは、決算書に載っている土地の金額だけを見ず、
現在の評価との差を確認する必要があります。


建物と土地は分けて考える

会社が本社や工場を所有していると、土地と建物を一つの不動産として考えがちです。

しかし、自社株への影響を見るときは、土地と建物を分けた方が分かりやすくなります。

例えば、20年前に土地3,000万円、建物5,000万円で工場を取得したケース。

現在では土地の価値が6,000万円になっている一方、
建物は老朽化によって購入時より価値が下がっている可能性が高いです。

この場合、工場全体を8,000万円で買ったという過去の数字だけでは、
現在の状態を判断できません。

会社が複数の不動産を持っている場合も同じです。

本社、工場、倉庫、社員寮、賃貸物件をまとめて考えるのではなく、
それぞれの土地と建物を分けて確認した方が、自社株への影響を把握しやすくなります。


借入金もセットで確認する

会社が1億円の不動産を持っているからといって、
それだけで会社の財産が1億円増えているとは限りません。

不動産は銀行借入れで購入していることがほとんどだからです。

例えば、会社が1億円の不動産を購入するために8,000万円を借りたとします。

会社には1億円の不動産が増えますが、同時に8,000万円の借入金も増えます。

そのため、不動産だけを見て自社株への影響を判断することはできません。

重要なのは、不動産の評価額と、その不動産に関連する借入金を両方確認することです。

さらに、購入から何年も経っていれば、借入金は返済によって減っています。

一方で、土地の価値が上昇しているかもしれません。

例えば、購入時は土地5,000万円、借入金4,000万円だったものが、
15年後には土地の評価が8,000万円となり、
借入金は1,000万円まで減っているケースでは株価へ与える影響も
大きく変化します。

購入時と現在では、不動産が会社全体に与える影響が大きく変わってくるのです。

不動産を買ったときだけではなく、
借入金の返済が進んだ後も自社株を確認する意味があるのはこのためです。


賃貸物件は用途も確認する

会社が持つ不動産が、本社や工場として自社で使用しているとは限りません。

会社名義でアパートやマンション、店舗などを所有し、
第三者へ貸しているケースもあります。

こうした不動産では、会社が自由に使っている土地や建物と取り扱いが異なります。

誰かに貸している土地や建物には、借りている人の権利があるためです。

そのため、同じ5,000万円で購入した不動産でも、
自社で使用しているのか、第三者へ貸しているのかによって、
自社株を計算するときの不動産の見え方が変わります。

ただし、賃貸不動産なら必ず自社株の価値が下がるという意味ではありません。

物件の価格、土地と建物の内訳、借入金、賃貸状況などによって結果は変わります。

会社で賃貸不動産を購入した場合は、決算書上の利益だけでなく、
その不動産が自社株にどう反映されるのかも確認しておく必要があります。


最近買った不動産には注意

不動産を購入すると自社株の価値が下がると考え、
相続や事業承継の直前に会社で不動産を購入する方法を考えるケースがあります。

しかし、購入してすぐに自社株が大きく下がるとは限りません。

自社株を計算する際、相続や贈与の時点から3年以内に会社が取得した土地や、
新築した建物などについては、
原則としてその時点の通常の取引価格に相当する金額で見るルールがあります。

そのため、会社の現金を不動産へ変えれば、
自動的に自社株の価値を大きく下げられるわけではないのです。

不動産購入を検討するときは、購入後の株価だけを見るのではなく、
その物件を会社が本当に必要としているのか、収益を生むのか、
借入金を返せるのかまで確認する必要があります。


不動産が多いと計算方法が変わる場合もある

会社に不動産が増えていく場合に、もう一つ確認したい点があります。

会社全体の財産に占める土地の割合が非常に高くなると、
一般的な会社とは異なる方法で自社株を計算する仕組みがあるためです。

会社の規模などによって判定は変わりますが、
土地などが会社の財産の70%または90%以上を占める会社では、この確認が必要になります。

特に、会社で不動産を買い増してきた場合や、
本業より不動産の金額が大きくなっている場合は注意が必要です。

ここでは70%や90%という数字を覚えることよりも、
会社の財産の中心が不動産になってきたら、自社株の計算方法そのものを確認する
という考え方が重要です。


不動産を売ったときも株価は変わる

会社が持っている不動産は、所有している間だけ自社株に影響するわけではありません。

売却したときにも会社の状態が変わります。

例えば、会社が昔2,000万円で購入した土地を1億円で売却したとします。

土地はなくなりますが、その代わりに会社へ売却代金が入ります。

さらに、売却による利益が大きければ、会社の利益にも影響します。

つまり、不動産を売ったから自社株への影響が消えるわけではありません。

不動産という財産が現金へ変わり、売却による利益も会社に残るためです。

事業承継の前に使っていない土地を売却するのであれば、
売却価格だけでなく、売却後の会社の財産や利益がどう変わるかまで
確認する必要があります。

不動産を持ち続ける場合と売った場合で、
自社株がどう変わるのかを比較してから決めた方が
思わぬ結果を避けられます。


自社株への影響は会社の規模でも変わる

同じ不動産を持っている会社でも、自社株への影響が同じとは限りません。

中小企業の自社株は、会社の規模などによって計算方法が変わるためです。

規模の大きな会社では、
同じ業種の上場会社の株価や利益などを参考にする計算が中心になります。

一方、小規模な会社では、
会社が持っている財産と借入金などを基にした金額が、
自社株へより直接的に反映されやすくなります。

そのため、同じ1億円の土地を購入しても、会社によって株価への影響は違います。

ここで重要なのは、不動産そのものに自社株を何%下げる、
何%上げるという固定された効果があるわけではないという点です。

会社の規模、利益、財産構成、不動産の評価額、借入金などを
組み合わせて考える必要があります。


不動産を買う前に二つの株価を比べる

会社で大きな不動産を購入する予定があり、事業承継も考えているのであれば、
購入前に一度自社株を確認しておきましょう。

そのうえで、不動産を購入した後の状態も試算します。

確認するのは、現在の株価と購入後の株価です。

例えば1億円の不動産を購入するのであれば、自己資金をいくら使い、
銀行からいくら借りるのかを反映させます。

さらに、購入する土地と建物を自社株の計算ではいくらで計算されるのかも確認します。

この二つを比較すれば、不動産購入によって自社株が上がるのか、下がるのか、
それほど変わらないのかが具体的に見えてきます。

不動産を購入した後に初めて自社株を計算するより、
購入前に確認した方が選択肢の幅が広がります。


確認するのは五つの数字

会社が不動産を持っている場合、自社株への影響を把握するために、
最初から複雑な計算を理解する必要はありません。

まず確認したいのは、次の5つです。
1.不動産の取得時期
決算書に載っている金額
3.現在の評価額
4.関連する借入金
5.会社全体の財産に占める不動産の割合

30年前に購入した土地が値上がりしていて、借入金は完済しているのであれば、
自社株への影響を確認する優先順位は高くなります。

反対に、最近購入し、同額近い借入金が残っている物件であれば、
優先順位は落ちます。

会社が不動産を持っているという事実だけでは、自社株への影響は判断できません。

この五つを並べることで、どの不動産から詳しく確認すべきかが見えてきます。


まとめ

会社が持つ不動産は、自社株の価値に大きく影響する要素の一つです。

ただし、不動産を持っているから株価が高くなる、
不動産を買えば株価が下がるという単純な関係ではありません。

特に確認したいのは、購入したときの金額と現在の評価額との差です。

昔から所有している土地が大きく値上がりしていれば、
決算書だけを見ていたときより自社株の価値が高くなります。

借入金で購入しているなら、その残高も一緒にチェックする必要があります。

最近取得した不動産は別の方法で計算する必要がありますし、
不動産が会社の財産の大部分を占めれば、自社株の計算方法自体にも影響します。

そのため、会社が不動産を持っている社長が最初に確認したいのは、
不動産があるかどうかではありません。

取得時期、帳簿上の金額、現在の評価額、借入金、会社全体に占める割合の五つです。

この五つが分かれば、どの不動産が自社株に大きく影響しているのかを整理できます。

特に本社や工場の土地を長年所有している会社、不動産を買い増している会社、
事業承継を予定している会社では、一度確認しておきたいポイントです。

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