「うちは資産家じゃないから相続対策は必要ない。」
相続の話になると、このように考える方は少なくありません。
確かに、相続税は一定額以上の財産がある場合に発生するため、すべての家庭で相続税申告が必要になるわけではありません。
しかし、相続対策は相続税を減らすためだけに行うものではありません。
実際には、
遺産分割で揉めないため
家族の生活を守るため
事業を円滑に引き継ぐため
に行う側面の方が大きいケースもあります。
特に中小企業の経営者は、
自宅
預金
自社株
生命保険
などが相続財産になるため、「相続税がかかるかどうか」だけで判断するのは危険です。
今回は、相続対策がお金持ちだけの話ではない理由について解説します。
相続税がかからない=何も問題がない、ではない
相続対策というと、どうしても相続税の節税をイメージしがちです。
しかし、実際の相続で問題になるのは税金だけではありません。
例えば、
父が亡くなり、
自宅
預金
生命保険
を残したとします。
相続税は発生しなかったとしても、
「誰が自宅を相続するのか」
「預金はどう分けるのか」
という問題は残ります。
相続人全員の意見が一致すれば良いですが、そうならないケースもあります。
つまり、相続税がゼロでも相続対策が不要になるわけではないのです。
自宅があるだけでも相続は複雑になる
特に多いのが自宅に関する問題です。
例えば、
配偶者が住み続けたい
子どもは現金で分けたい
というケースがあります。
預金なら簡単に分割できますが、自宅は一つしかありません。
そのため、
誰が取得するのか
他の相続人へどう調整するのか
という話になります。
都市部では自宅だけで数千万円の評価額になることも珍しくありません。
「自宅しかないから大丈夫」
ではなく、
「自宅があるからこそ話し合いが必要」
というケースも多くあります。
社長の相続では自社株も財産になる
中小企業の経営者の場合、一般家庭とは異なる問題があります。
それが自社株です。
会社が順調に成長している場合、自社株には想像以上の価値が付いていることがあります。
しかし、自社株は預金のように簡単に分けられません。
例えば、
長男が会社を継ぐ一方で、
長女や次男にも相続権があります。
この場合、
誰が株を取得するのか
他の相続人へどう配慮するのか
という問題が発生します。
相続税が発生するかどうかに関係なく、事業承継対策は必要になるのです。
遺言書がないと話し合いが長引くこともある
相続人同士の関係が良好であっても、遺言書がないことで話し合いが長引くケースがあります。
相続が発生すると、
原則として相続人全員の同意が必要になります。
例えば、
不動産の名義変更
預金の解約
株式の承継
なども、相続人全員の関与が必要になることがあります。
そのため、
「家族仲が良いから大丈夫」
とは限りません。
むしろ、仲が良い家族ほど、
「お父さんはどう考えていたのだろう」
と悩んでしまうことがあります。
遺言書は財産が多い人のためのものではなく、自分の意思を家族へ伝えるための手段でもあります。
生命保険は相続対策としても活用できる
生命保険は、亡くなった後に遺族へ現金を残せる仕組みです。
相続財産の多くが不動産や自社株の場合、
「相続人へ渡す現金が足りない」
というケースがあります。
そのような場合でも、生命保険金があれば、
納税資金
代償金
当面の生活費
などに活用できます。
また、生命保険には一定の相続税非課税枠もあります。
ただし、生命保険は節税商品ではなく、あくまで家族へお金を残す手段として考えることが大切です。
相続対策は元気なうちしかできない
相続対策で最も難しいのは、
「必要になってからでは遅い」
という点です。
例えば、
遺言書作成
生前贈与
自社株対策
保険見直し
などは、本人の意思確認が前提になります。
判断能力の問題が生じると、できる対策が大きく制限されることがあります。
そのため、
「まだ早い」
と思っている時期こそ、本来は検討しやすいタイミングでもあります。
相続対策の目的は税金ではなく家族を守ること
相続対策というと、
「相続税を減らすこと」
ばかりに目が向きがちです。
しかし、本来の目的はそれだけではありません。
家族が困らないようにする
相続人同士がもめないようにする
事業を継続できるようにする
配偶者の生活を守る
こうした目的の方が重要なケースも多くあります。
税金は結果として付いてくるものであり、相続対策の中心は「家族への備え」と言えるでしょう。
まとめ
相続対策は、決してお金持ちだけのものではありません。
相続税がかからなくても、
自宅の承継
預金の分配
自社株の引継ぎ
遺言書の有無
などによって、さまざまな問題が発生する可能性があります。
特に経営者の場合は、自社株や事業承継も関係するため、一般家庭より検討事項が増えることも少なくありません。
相続対策とは、
「税金を減らすこと」
ではなく、
「自分がいなくなった後も、家族や会社が困らない状態を作ること」
です。
だからこそ、相続税がかかるかどうかに関係なく、一度は家族と話し合う機会を持つことが大切ではないでしょうか。

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