「継がせる」よりも大切な準備があります
中小企業の経営者にとって、事業承継は避けて通れないテーマです。
特に子どもがいる経営者の場合、
「いずれ会社を継がせたい」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもがいることと、
子どもが後継者になることは同じではありません。
実際には、親は継がせたいと思っていても、
子どもは別の人生を考えているケースもあります。
また、子どもに継ぐ意思があったとしても、事業承継にはさまざまな準備が必要です。
今回は、子どもに会社を継がせる前に考えておきたいポイントについて解説します。
本人に継ぐ意思があるのか
事業承継で最初に確認すべきことは、
「本人が本当に継ぎたいと思っているか」
です。
親としては、自分が育ててきた会社を子どもへ引き継いでほしいと思うかもしれません。
しかし、
- 別の仕事をしている
- 独立を考えている
- 経営に興味がない
ということもあります。
まずは本人の意思を確認することが重要です。
事業承継は会社の問題であると同時に、子どもの人生にも関わる大きな選択だからです。
経営者と従業員はまったく違う
優秀な従業員が、そのまま優秀な経営者になるとは限りません。
経営者には、
- 資金繰り
- 人事
- 銀行対応
- 投資判断
- 最終責任
など、多くの役割があります。
子どもが会社で働いている場合でも、
実際に経営を担う準備ができているかは別問題です。
経営者としての経験を少しずつ積んでもらうことが大切です。
取引先との信頼関係を引き継げるか
中小企業では、会社と取引しているというより、
「社長と取引している」
という状態になっていることがあります。
そのため、後継者が決まっていても、
取引先との関係が十分に構築されていなければ不安を持たれることがあります。
重要な取引先には、早い段階から後継者を紹介し、
少しずつ関係を引き継いでいくことが大切です。
自社株をどう引き継ぐのか
事業承継では、会社を継ぐことだけではなく、
株式をどう承継するかも重要です。
例えば、長男が会社を継ぐ予定でも、
相続によって株式が兄弟姉妹へ分散してしまうことがあります。
その結果、
- 経営権が不安定になる
- 意思決定が難しくなる
- 将来的なトラブルにつながる
可能性があります。
事業承継は経営の引継ぎと株式の引継ぎをセットで考える必要があります。
「公平」と「平等」は違う
相続の場面では、
すべての子どもへ同じ財産を渡すことが必ずしも最善とは限りません。
例えば、会社を継ぐ子どもには自社株を承継し、
他の子どもには別の財産を渡すという考え方もあります。
全員へ同じ割合で株式を渡してしまうと、
将来的に経営へ支障が出る可能性もあります。
家族全体の納得感をどう作るかも重要なテーマです。
社長が元気なうちに権限移譲を始める
事業承継がうまくいく会社には共通点があります。
それは、社長が元気なうちから後継者へ仕事を任せていることです。
- 重要会議への参加
- 銀行との面談
- 経営計画の作成
- 採用面接
などを少しずつ経験してもらうことで、
承継後の負担を減らすことができます。
突然社長になることはできても、
突然経営者になることはできません。
子どもに継がせることが正解とは限らない
事業承継というと、親族承継が前提のように考えられることがあります。
しかし、
- 子どもに意思がない
- 適任者が別にいる
- 会社の将来を考えると別の選択肢が良い
というケースもあります。
近年では、従業員承継やM&Aも珍しいものではありません。
大切なのは、
「誰が家族か」
ではなく、
「誰が会社を発展させられるか」
という視点です。
まとめ
子どもに会社を継がせる場合、
考えるべきことは数多くあります。
- 本人の意思確認
- 経営者としての育成
- 取引先との関係構築
- 自社株対策
- 相続対策
- 権限移譲
など、どれも短期間で完了するものではありません。
事業承継は、単なる相続手続きではなく、
会社の未来を引き継ぐプロジェクトです。
だからこそ、「いつか考える」ではなく、
「今から少しずつ準備する」ことが、
会社を次の世代へ残すための第一歩になるのではないでしょうか。

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