役員個人へおカネを貸したり、会社のおカネを役員がプライベートの用途で使ってしまった
場合には役員貸付金として、会社の決算書に記載がされることになります。
この役員貸付金、メリットが1つもないどころか、たくさんのデメリットがあることを
ご存知でしょうか。
たくさんのデメリットたち
実際にどのようなデメリットが潜んでいるのか、これから確認していきましょう。
1.会社の資金繰りに影響を及ぼす
役員へおカネが渡れば、当然に会社のおカネは減ります。
「いずれ返してもらうから」という意見もあるかもしれません。
しかし、会社がおカネを必要になったタイミングで、その貸付けを
返してもらえる保証はありません。
そして、後述もしますが、そのような状況の会社に融資をしてくれる
都合の良い銀行もなかなか現れないものです。
2.銀行からの評価や社会的信用が下がる
資金が潤沢にある会社ならばまだしも、資金繰りに追われている会社が
役員貸付をしていれば、銀行からはこんな風に見られてしまうかもしれません。
・既に融資をしている銀行「貸したおカネが違う目的で使われているのでは・・・?」
・融資の判断をしている銀行「貸しても、私的に流用されてしまうのでは・・・?」
また、役員が会社のおカネを私的に使えてしまうことで、会社の資金管理体制への
不信などにもつながり、会社が社会的信用を失う可能性もあります。
信用を失う可能性があるのは会社だけではありません。
会社からおカネを借りたり、会社のおカネを使ったりした役員もまた、
「会社のおカネを私的流用する人だ」、「おカネの使い方がクリーンじゃない」
といった見方をされてしまうかもしれません。
3.会社の負担が増える
会社が貸したおカネであっても、役員は利息を払わなければなりません。
そして、この利息は一般的な利率によって計算しなければならず、
低金利、または無利息であれば、税務調査で指摘される可能性があります。
会社は受け取った利息分だけ利益が増えるので、結果として法人税が
増えることになります。
4.借りた役員の税金が増える恐れがある
貸したおカネが長期間返済されていなかったり、私的流用とみなされると、
そのおカネは貸付ではなく、役員報酬として判定される可能性があります。
そうなると、役員報酬には所得税を始めとした税金とその支払いが遅れた
ペナルティが課されます。
また、会社が利息を受け取っていなかった場合、その利息を会社が免除した
ものとして、これも役員報酬として認定されることがあります。
5.決算書に残り続けてしまうかもしれない
役員への貸付が返済されないまま、役員が亡くなってしまうと、親族を含めた
相続人がその貸付を返さなければなりません。
しかし、本人以外からとなると、返済してもらうことが難しくなるケースも
多くなります。
返済されない限り、役員貸付金が決算書(貸借対照表)に残り続け、
銀行などへネガティブな影響を与え続けてしまいます。
返済を待たずに決算書から消し去るには、役員報酬として認定する、
債務免除をして、会社が損失を被るなどが考えられますが、いずれも
痛みは伴うものとなります。
(債務免除については、税務調査で認めてもらえないことも想定されます。)
まとめ
役員貸付をおこなうことのリスクを挙げてみました。
もし、役員貸付をおこなうのであれば、このようなデメリットを理解したうえで、
実行しましょう。
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